コレクション: 無双窓
人それぞれ違うと思うが、わたし等は、自分の気持が白か黒かを明確に表明したいという欲望がある。けれども、一方で、白とも黒とも言えず曖昧な態度しか表明できない状況があることも知っている。わたしが、その精神の有り様に注目していた時、日本の木造建築にある、連子を前後に二つ並べて外側を固定し、内側の連子窓を動かして隙間を調節して風が入り込む度合いを変える為の装置、無双窓を頭に浮かべていた。何故、無双窓をイメージしたかと言えば、我々のその都度の精神の有り様を抽象化して語る装置と思ったことに因る。
閉じられた箇所を黒、そして外部が見える隙間を白として考えると、明確な白、黒から、曖昧に白が少なくなって、終いには全く白が無くなる。無双窓の原理。わたしはこの必ずしも白と黒が明確に分かれているものばかりでなく、風の調節を考えた半開き、閉められる直前といった曖昧なものを見ると、曖昧なものにも、いつしか強く惹きつけられることになったのだった。