コレクション: Fragment (2020)

わたしがこの2種の作品を制作した契機になったのがトリスタン・ツァラ(1896-1963)の詩集の後書き(宮原庸太郎「ひとりの読者から読者へ」/トリスタン・ツァラ『人間のあらまし』/書肆山田/1986)だった。

「……わたしたち人間はなぜ、どこから、どこをどのように通ってこの世界にやって来たのか?わたしたちはなぜ今ここに、この自分として(他の時、他の場所、他の人としてではなく)存在するのか?そしてやがてある日ある時どこへ去るのか、あるいは帰るのか?あるいは永遠にさまようのか?いや、この命の日々さえすでにわたしたちが知らぬままに始まり、そしてその行方を知るよしもない彷徨と転落の一過程にすぎないのではあるまいか?そしてこのわたし、それはたれなのか?このわたしはわたしなのか?わたしが話しかけるこのわたし自身、それはたれなのか?そしてわたしたちの中にあってわたし自身ではない(らしい)かれ、それはたれなのか?」