コレクション: View Points of Intersection (1999)

対象となっているものを写真に撮っている時は気付かないが、撮影に目処が立った時に、決まって、幾重にもレイヤーが重なっている情景が頭に浮かぶようになっていた。そう感じ始めたのは、都合良く同じ面、あるいは空間に重ならない状況があると感じたからである。何かに注目して見ていた時、注目している箇所は確実に把握できていても、それ以外の箇所は意識しているかさえ心細くなることがあるように……。全体像は曖昧な記憶の集合でようやく成立しているもの。だからこのシリーズで挑戦していることは、曖昧な状況の顕在化、あるいは明確化することと言えるだろう。