コレクション: Space of Magnetic Vision (2009)

〈One’s Point of View〉(1994)を制作してから、20年後に制作したシリーズである。〈One’s Point of View〉は一つのドーナツ型の白い余白がある作品だったが、〈Space of Magnetic Vision〉は、白いリングの中にまた白いリングがある作品である。〈One’s Point of View〉と決定的に違うことが、二重の白いリングで囲まれた中心部の視野範囲が一番広く、二つ目のリングに囲まれた箇所の視野範囲がそれより狭くなり、そして二つのリングの外側が一番視野範囲が狭くなっていること。

この作品の最大の特徴は、奥へ奥へ、あるいは奥から手前へと、方向性を連続して感じさせることだけでなく、中心部の視野範囲が一番広い映像に助けられながら、次第に視野範囲が狭くなっていくことを体験すると、我々の視野は、視野が一番広いものか、あるいは、それより視野が広い映像を拠り所にして把握しながら部分に視線を注いでいるのではないかと思えてきた。